2009年全日本選手権 女子ロードレース優勝、2010、2011年ジャパンカップを連破(2014年にも優勝)された西加南子さんの著書『より速く、より遠くへ!ロードバイク完全レッスン 現役トップアスリートが教える市民サイクリストのトレーニング法』を読みました。
まず、全体的な印象としては、女性らしい柔らかな文章で非常に読みやすかったです。
内容の方も、基礎からレースを目指す人まで順を追って説明されています。
パート、パートを切り分ければ、サイスポやバイクラの特集でも扱われている内容かもしれませんが、1人の口から順を追って説明されているため、齟齬がありませんし、筋が1本通っていますので、理解しやすいです。
目次だけ読むと、
はじめに
第1章 まずは正しいポジションとフォームから
第2章 50kmをラクに走るためのトレーニング法
第3章 100kmをラクに走るためのトレーニング法
第4章 ロングライドを満喫する
第5章 現役トップアスリートのトレーニング術
第6章 市民サイクリストのための体幹トレーニング
おわりに
と、どちらかといえばビギナー向けの内容かと思いきや、なかなかハードなトレーニングプランが紹介されています。
私も冬季のLSDや、春先のロングライドイベントでは100kmとか、150kmとかを走ることがありますが、100kmを走ることと、100kmを”ラクに”走ることは違うんだと、今更ながらに感じさせられました。
あとがきを読むと、初心者から、レースにチャレンジするまでをイメージして書かれたそうです。
ただ、確かにこれだけ練習をすれば走れるようになるんだろうなぁとは思うのですが、現実にはなかなか難しいかなぁと思ったり…
そこをどう埋めていくかですね(^^)
この本を読んでいて、これまで得た私の知識と異なっているなぁと感じた事が何点か。
まず、「市民レーサーも、冬場をオフ期、それ以外をオン期とした期分け(ピリオダイゼーション)をしたほうがパフォーマンスはアップしやすい」ということ。
これまで読んだ書籍では、「ホビーレーサーにオフは必要無い!」といった内容のものが多かったですが、オンオフをつけてメリハリをつけた方がモチベーションも保ちやすいという意見でした。
私が冬場に向けてトレーニング内容を変えようもしているのも、間違いではないんですね。
まぁ、私の場合は、冬季は0度近い気温の中走ることもあるので、あまり故障だらけの関節に負荷をかけられないという背景もあるのですが…
また、最後の章では西さんのトレーニングコーチに筆をタッチして、身体のコンディショニング&筋トレの方法についても述べられています。
特にここで重要視されているのが、「キネティックチェーン」、筋肉の連鎖的な動きです。
1つの筋肉だけを鍛えても、筋肉の連携的な動きに支障をきたしてしまうため、筋肉の連携を円滑に行うことで、筋肉の負担を分散させてやろうという考え方です。
私が「キネティックチェーン」という言葉を初めて耳にしたのはここ数年だと思うのですが、この本が執筆されたのは2012年5月。
西さんはそれよりずっと以前からトレーニングに取り入れられていたんですね。
ちなみに、この本で紹介されているストレッチや体幹のトレーニングは、残念ながら腰にケガを持っている私には実践できないものも…
とはいえ、リハビリの中で行っているものや、それに通ずるものもありますので、できる範囲で取り入れていきたいと思っています。
書かれている内容もすっと頭の中に入ってきますし、これは違うだろうと思うことも(少なくとも私は)無かったので、読んでみて損のない本だと思います。
正直、竹谷賢二さんの『ロードバイクの作法 やってはいけない64の教え』を読んでムラムラとしていた部分も解消することができました。
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