「ロードバイク本音のホイール論」を読みました。
発売前から気にはなっていたのですが、Amazonでの評価がすこぶる良くなかったため、読んでいなかったのですが、めったに行かない書店に置いてあったのを手にしてパラパラとめくってみると、意外と面白そうじゃんということで、一転興味が出てきました。
しかし、評価があまり良くない本に1,944円出すのはちょっとギャンブル…
そこで、書籍についてはあまり行わない方法ですが、オークションで安くで手に入れることにしました。
読んでみての感想ですが、まず、2,000円弱というこの価格は高過ぎ。
これが800円くらいの新書であればもう少し受け入れられていたかもしれません。
確かに面白い部分もあるのですが、全体的に新しい情報が少なく、何に重きをおいて書かれたのかがいまいち伝わってきません。
また、私が手にしたのが第1版ということもあると思いますが、明らかな誤りや矛盾、説明不足も見られました。
例えば、2章において、”剛性”には”駆動剛性”と”横剛性”があると定義しておきながら、その後の文章ではただの”剛性”という言葉を使っていて、これは”駆動剛性”のことなのか、”横剛性”のことなのかと頭をひねりながら読まないといけなかったりします。
また、リムハイトが10mm違えば、空力の違いは明らかになり始めると書いておきながら、次のページでは、空力効果に違いが出始めるのは50mmを超えてからと書いてみたり…
さらに、4章の初めの項目では、”エネルギー論的には、ホイール軽量化は、車体の2倍程度の効果にしかすぎません”との記載があります。
ん? 車体の2倍!!
それだけの軽量化効果があるのであれば、みんなリスクを冒してでもホイールの軽量化に走りますよね…
(おそらく)正解は3章に書かれていて、他のパーツを同じ重量軽量化した時の2倍程度の軽量効果しかない。
つまり、ホイール(リム)を200g軽量化しても、車体を400g軽量化した程度の効果しか得られないということだと思います。
同じく4章では、ホイールを選ぶ時の目安として、”アルミクリンチャーホイールなら、1400グラム前後。ローハイトのカーボンクリンチャーも、1500グラムくらいが相場”との記載があります。
あれ?
カーボンの方が重い??
そこで、大手ホイールメーカーのホイールの重量を調べてみました。
MAVIC:
アルミ(R-SYS SLR):1295g
カーボン(キシリウム プロカーボン SL クリンチャー): 1390g(ペア)
カンパニョーロ
アルミ(Shamal Ultra C17 クリンチャー): 1495g
カーボン(Bora Ultra 35 クリンチャー): 1370g
フルクラム
アルミ(レーシングゼロ C17): 1518g
カーボン(レーシング ゼロ カーボン):1358g
ZIPP
アルミ(30 Course Rim-brake Clincher): 1570g
カーボン(202 NSW Carbon Clincher): 1375g
DT SWISS
アルミ(R23 SPLINE): 1605g
カーボン(PR1400 ダイカットオキシック): 1435g
なかなか、アルミクリンチャーとローハイトのカーボンクリンチャーの両方を出しているメーカーが見つからなくてデータが少ないのですが、”相場”としては、アルミが1500g、カーボンが1400gというのが正解ではないでしょうか…
(MAVICのR-SYSの軽さは別格として…)
少なくとも著者が2名いるわけですから、お互いにチェックができたと思うのですが…
また、著者によって明らかに意見が分かれている部分もあります。
1章において、著者の吉本司氏は、「重量と剛性は直接の評価の対象にならない」と述べておられますが、2~4章を担当されている田中良忠氏はことあるごとに剛性を持ち出しておられます。
ただし、1項目、1項目を見ていくとそう悪い本ではなく、楽しめない本ではないと思います。
例えば、1章の「ホイールの基礎知識」ですが、ホイールの歴史から記載されていますが、記載内容に若干偏りが見られ、私ならこういうことも書くんだけどな~と思う部分もありましたが、概ねいい感じ。
いい勉強にもなりました。
ただ、なぜここが太字なんだろう?と首をひねる部分もありましたが…(^^;
以上のような疑問を1つ1つ自分で調べたりしながら読めば、悪くない本だと思います。
ただ、価格がちょっとね…
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